WEB2.0ビジネスの4つの課題

前回、「集合知が機能するためには、母集団の規模がある水準(閾値)を越えねばならない」と書いたのを受けて。
有能なマーケッターによる食い散らかし的なWEB2.0に関する表層的な騒ぎも一段落したので、「よっしゃ、これから満を持してWEB2.0ビジネスに参入すっか」とか考えてる腰の重いイノベーターや、他人が褒めてるものを貶せばカッコイイ、みたいな中二病的動機によるプレゼンをしたいけど、ネタがなくてスライドが埋まらない新卒者のための、「WEB2.0ビジネスの4つの課題」。


<課題1>閾値をどうやって越えるか。

WEB2.0サービスは、集団の知識を凝集し個人が利用できるようにするサービスである。凝集された知識=集合知が機能するためには、知識の母集団が一定の規模である必要がある。母集団はイコールそのまま利用者であるので、一定規模の母集団が形成されればサービスは加速度的に回り出す。なるべく早く母集団の規模がある一定の水準(閾値)を越えることがビジネスとしては重要である。
※プレゼン的には、ここらへんで「メトカーフの法則」などに言及しておくと良い。

⇒対策
母集団を早く大きくするため、サービスに参加するためのシステム的、心理的ハードルを可能な限り低く設定することが必要。余計なユーザー登録など、特に必要なければ設ける必要はない。「ユーザー登録をしないと、サービスの内情を閲覧することもできない」というのは、かなりの心理的障壁になる。もちろん、必要最低限のハードルを課すことでサービスの質を担保するという考え方はあるが、後述する「衆愚化」を恐れるあまり、参加の条件を厳しくしてはサービス自体が成立しない。

<課題2>閾値を越えるまでどう耐えるか。

閾値を越えるまで、サービスはほとんどサービスとして機能しない。当然、ビジネスとしても成り立たないので、この状態では損失だけが積み上がることになる。

⇒対策
サービス開始前に、事業計画なり予算なりに、この間のコストを折り込んでおくことが必要である。
また、直接的な解決方法ではないが、このサービス以外に利益を確保できる(このサービスの穴を埋めることのできる、つーか本業なんだけど)別のネタを用意しておくことも重要である。WEB2.0ビジネスなど、“しょせん”ロングテールだから。

<課題3>衆愚化にどう対抗するか。

集合知の衆愚化については、はてな界隈でも非常に活発に議論されているので、ここで衆愚化そのものを問題とはしないが、衆愚化によってサービスの品質が落ちるのは避けたい。

⇒対策
衆愚化が顕在化するタイミングを、逆に「参加のためのハードル」見直しのタイミングだと考える。ハードルの高さを調節し、今度はユーザーの参加を抑制する方向に舵を切る。例えば、参加IDを発行するまで、アンケートページを10ページくらい経由させるとか、個人情報に親の財産まで入力させるとか、クレカ強制加入とか、ハードルを高くするのは簡単である。また、「普通コレ絶対必要だろ」というような機能有料オプションに設定し、既存登録ユーザーは特別無料とかにしておけば、既存の優良ユーザーの心象も良くなり囲い込みにつながるし、ひょっとしたら金を落としてくれるユーザーもいるかもしれない。とにかく、サービスは安定期に入っているので、今度は品質を維持し、サービスそのものを収益化するターニングポイントであることを認識しておく。
ちなみにそのタイミングは、予想されるユーザー数全体の16%を突破した時でも、50%に到達した時でも良いが、%を決めずサービスのまわり方を見ながらユーザーの絶対数で判断してもよい。管理者のセンスが問われるだろう。
※ここらにロジャーズの普及モデルグラフなどをつっこんでおくと良い。

<課題4>とは言うものの、WEB2.0は本当に金にならない、なっていない。

WEB2.0的なビジネスの規模が、現時点で、既存のビジネスと比較にすらならないくらい小さいのは、厳しい(悲しい)現実である。

⇒対策
現時点で、WEB2.0ビジネスで利益を出す仕組みは大きく分けて「広告収入」「手数料課金」「EC(アフィリエイトを含む)」の3つしかない。
この中で、ダントツに金を持ってくる難度が低いのが広告収入である。検索連動でもアドセンスでも良いが、アクセスの絶対数がデカいなら純広があったほうがいい。この場合は、ある程度サービスとして目処が立ったところで、媒体として広告営業できる算段をしておかなければならない。

以下、私見を表にまとめておく。

収益モデル 事業化 売上予測 収益性
広 告
手数料課金
EC(物販)
アフィリエイト
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以上。またなんか思いついたら書く。