東京カワイイ★TVにNHKの底力を見た
一昨年「東京カワイイ★ウォーズ」という宮台真司企画のNHKスペシャルがあり、それをかなりカジュアルにした同名の企画番組が数ヶ月前にあって、どうもそれらが好評だったようで、今クールからレギュラーになりました。
「カワイイ」は、いまや世界の共通語である。
世界を席巻する「ジャパニーズ★カワイイ」を特集するのがこの番組。
先週の第1回は「カワイイ」を求めて東京に殺到するセレブ達のエピソードを紹介していた。
ビルボードに名を連ねるような世界的ミリオンアーティストである彼女達が、来日して真っ先に向かうのは、渋谷、原宿といった日本のポップサブカルチャーの発信地である。
彼女たちは、日本の女子高生やそのファッションを見て「Super Kawaii !!!」と叫び、原宿の小さな小さな店の商品をどーんとセレブ買いする。
彼女たちのファッションは、メディアに載って地球を駆け巡り、日本のカルチャーを世界にアピールする媒体となる。
このような番組に対して極めてオッサン臭い発想で恐縮なのだが、カワイイを支える109(マルキュー)のショップや裏原のデコ職人は、ははぁ、現代における中小企業だなと感じた。今後も、日本の産業を支えるのは、このような中小零細(というと響きは悪いが)のインディペンデント・クリエイターなのだろう。これは日本の70〜80年代と同じ構図である。彼女たちはポストモダンの時代における東大阪の金型職人なのだ。と感じた。
今週の第2回目のテーマは、いまや国際的なイベントとなった「東京ガールズコレクション(TGC)」である。
TGCが徹底するコンセプトである“カワイイ"の本質は“リアル”である。「東京ガールズコレクション」で発表されるファッションは、いわゆる「リアルクローズ」と呼ばれる“普段着”であり、その点が、権威的なメゾンのオートクチュールが並ぶ、パリ、ミラノ、NYのショーとの決定的な違いである。
私は、現在進行中の知識社会への移行におけるもっとも顕著な特徴は社会のカジュアル化であると考えている*1。
既存の権威は、技術革命によって破壊されようとしているのだ。
破壊をもたらす最大の力は、リアルに直結した変化のスピードと、群衆によるボトムアップのパワーである。それらすべてを象徴的に著している現象が「TGC」にほかならない。これは世界中のどこにもない、日本独自の文化的最先端である。
そう、日本は製造業の時代にも世界の最先端と頂点を極めたが、実は、ポストモダンの時代にも世界の先頭を独走しているのだ。現在ににおいても、時代的にもっとも先進的なのは日本なのである。
そして、来週の「東京カワイイ★TV」は “姫特集” である。
おおう。
この番組の懐の深さに衝撃を受けずにはいられない。この企画には、産業革命の極みとポストモダンの典型が同時に存在する。まさしく進行形の現在(いま)が凝縮された内容である。
激しく期待せずにはいられない。